現在、さがみ酒米研究会の会長職を務めている座間市の農家、池上貴明さん。
平成30年7月19日の圃場巡回中、池上さんに田んぼについてのソボクな疑問をぶつけた「一問一答」です。
Q.米作りではとにかく「育苗が大事」と聞きますが。
A.今の田植え機は植えるスピードが速いんだ! だから少しでも苗の出来にぶれがあるとすぐ詰まっちゃう。逆に苗だけできていれば、あとは何とかなっちゃうね。そのために種蒔きは失敗できないよ。
Q.雑草が出やすい田んぼがあるのでしょうか。
A.水はけが悪い所は出ちゃうね。冬場に乾かないから、雑草が越冬しちゃうんだ。田植えの時に除草剤も撒くけど、効かないよ。抵抗力がついちゃって。
Q.田植え前に田んぼの均平(平らにしておくこと)は重要ですか?
A.重要、重要! 一枚の田んぼの中であまり差があると水が回らなくて代かきができないんだ。だいたい高低差5センチくらいまでかな。植えた時に苗の半分くらい水がかかるようにしておかないといけない。(「水が回る」とは、水が落ちずに全体に行き渡ること)
Q.例えば、水はけが良すぎて水が溜まらない田んぼはどう対策するのですか?
A.ある程度、深く耕耘しておくこと。お風呂の桶を大きくするのと同じ。“タンク”が大きい方が水が溜まりやすい。一枚一枚に癖があるから、それぞれ水の調整法を覚えておかないといけないんだ。
Q.現在、池上さんが栽培されている神力の特徴は?
A.丈が長くて上の方までダーって伸びちゃうの! 穂はちっちゃい。米というより藁(わら)を作っているみたいだよ(笑)。だからできるだけ長く伸ばさないようにコントロールする。田植えの時期を遅らせたりして光合成する期間を短くしたり。あとは施肥の調整とか。コンバインも最近の機械は長い品種を刈り取りしやすいようにはできてないから、(地面から)少し上の所で刈るんだよ。ただ昔の品種だから、気候変動には強いね。今年みたいな猛暑にも結構耐えますよ。
Q.さがみ酒米研究会の現状についてお聞かせください。
A.出荷先も近くて、運搬費もそんなにかかってないし、直接酒蔵との取引だから間に入ってない。地方と比べれば良い環境でやれているんじゃないかな? 橋場社長も売り方が上手だしね(笑)。