かながわ酒&農マガジンgoo-bitの創刊号は2014年10月に発行され、そのときの特集がブリマーブルーイングさんでした(旧インタビュー参照)。
今回、創刊から約1年後に実施した醸造責任者のスコット・ブリマー氏と小黒佳子社長への再インタビューを掲載します。
2017年3月には待望の直営ビアパブが久地駅前にオープンしました!
※記事および写真は2017年3月発行 goo-bit川崎特集号より転載しました。
――― 創刊号のインタビューでも伺いましたが、スコットさんにとって川崎でビールを造ることの意義とは?
スコット やはり妻とその家族のホームタウンであり、それは自分にとってもホームタウンであるということ。
そして市外へ行くときに、この地を代表する「川崎のクラフトビール」として広めていきたいということ。こういう点に川崎で造る意義を見出しているよ。
――― 最近では毎年、川崎市民祭りへも出店されていますね。
小黒 お祭りにはすごい人数の方が来てくださいますよ! それでも、私たちのことを知らない方はたくさんいらっしゃいます。
お客様に「えーこんなのあるんだ!」とか「久地で造ってるんですか⁉」なんていうふうに知っていただけるので収穫も大きく、手応えを感じるイベントです。
――― 素材、特にホップについてのこだわりがあるかと思いますが、いかがですか。
スコット 日本ではどうしても入手できるホップの種類が限られてしまう。でもその限られた中でもネットワークを駆使して、色々なホップを手に入れるようにしているよ。ペレット(粉にしたホップをギュッと固めたもの)と併用して、最近は生ホップを入手できているしね。
苦味を出しやすいのはペレットだけど、生ホップを使うことによってペレットからは出ない香りが出る。なので苦味のためにペレット、香りのために生ホップという使い方をしていきたいと思っているんだ。
――― クラフトビール界の現状について、どう見られていますか? 前回のインタビューでは、クラフトビール「ブーム」についてのお話を伺いましたが。
スコット 最近ではアメリカでも日本でも、大手ビール会社がクラフトビール事業に参入してきているね。このことにはプラス面とマイナス面がある。
本当に美味しいクラフトビールを多くの人に飲んでもらえるようになるのはプラス。マイナス面は「小規模で造っているのでなければ、もうクラフトビールじゃない」と見る人もいること。いずれにしろ日本でも(大手によるクラフトビール醸造が)増えていくと思うよ。
それから、クラフトビールは既に「ブーム」ではないんだ。一般の方にも定着しているし、大手も参入している。これから先にちょっとしたアップダウンはあるかもしれないけど、初期の「地ビールブーム」のようにガクンと下がることはないと思う。
人間の舌は一回味を覚えちゃうと忘れない。美味しいクラフトビールを飲めばその味が忘れられなくて、それをやめることはないと思うよ。
――― 味の記憶は強力ですよね。
スコット もしこれをブームだと思って安易に「この業界に入れば儲かる」と情熱も無く新規参入する人にとっては難しいかもしれないね。その危険性は十分ある。ただ、本当にクラフトビールに情熱を持っている人は“ブーム”が終わったとしても「ペタン」て倒れることはないだろうね。
ただのお金儲けと考えたならば、もしかするとガクンと落ちてしまうときが来るかもしれない。でも自分自身はそうは考えていない。好きでやっていることだからね!
小黒 たまにはいいこと言う(笑)。
――― ありがとうございました(笑)。